小倉百人一首 - 河原左大臣

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14 河原左大臣
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに
現代語訳  
陸奥のしのぶずりの模様のように心が乱れはじめたのは誰のせいか。私のせいではないのに。
作者  
河原左大臣 (かわらのさだいじん)
源融 (みなもとのとおる) 822〜895 嵯峨天皇の皇子で臣籍降下し、源の姓を賜る。六条河原に住んだことから河原左大臣とよばれた。宇治の別邸は後に平等院となる。贈正一位。
文法と語句
陸奥 ― 白河関以北の地。現在の福島・宮城・岩手・青森の4県にほぼ相当する地域。
しのぶもぢずり ― 「(捩摺)もぢずり」は、陸奥の信夫(しのぶ)地域で産した乱れ模様に染めた布。信夫摺り(しのぶずり)ともいう。ここまでが序詞で、「乱れそめにし」にかかる。

誰ゆゑに ― 誰のせいで。「誰ゆゑに」の後に続くはずの疑問・反語の係助詞(終助詞とする説もある)が省略されている。その部分を補って、「誰のせいか」と訳す。

乱れそめにし ― 「そめ」は、「染め」と「初め」の掛詞。「乱れ」と「染め」は、「もぢずり」の縁語。「し」は、過去の助動詞の連体形。本来あるはずの疑問・反語の係助詞と係り結びとなるため、終止形ではなく連体形となっている。
われならなくに ― 「な」は、上代(奈良時代以前)に用いられた打消の助動詞。「く」は、その接尾語。「に」は、詠嘆の意味を含む逆接の接続助詞。終助詞とする説もある。「われならなくに」で、「私のせいではないのに」の意。「あなたのせいだ」という内容の表現が省略されている。(注)「私なら泣くのに」ではない。
倒置法
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